わたしの本棚
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作品名;  量    刑 著  者;  夏樹 静子 発行社;  光文社

   量刑とは裁判所が、処断刑の範囲内で、刑罰の程度を決めること。(大辞林)
  発端は交通事故。「被害者が救われない裁判」に挑む裁判官。裁判長の娘の誘拐事件へと発展し、刑を決定すべき裁判長の苦悩が始まる。
  量刑にあたって苦悩する裁判官の心理を描いた作品は、今までかつてなかったのではないか。
  裁判官だって神ならぬ人間だし、揺るがぬ正義の化身でもないはずなのだ。だからこそ、同じ事件が無罪と死刑と180度ひっくりかえって、地裁から最高裁を行ったり来たりもするのではないか。
(中略)「先生、あらゆる手段を講じて彼女を助けてやってください。絶対に、死刑にだけはさせないでください」
(あたり)弁護士はかすかな笑みで受け止めた。「手段はさまざまありますよ」(本文より)
  裁判官3人で刑を決定するさいの合議がとてもリアル。こうして刑が決まっていくのだと改めて思い知った。
  1300枚のミステリー長編大作。二晩で読んでしまった。

 
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