わたしの本棚
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作品名;  別れてのちの恋歌 著  者;  高橋 治 発行社;  新潮社(新潮文庫)

  読み始めたきっかけは”エンジェル トランペット”が描かれている小説があるよと聞いたこと。しかもその舞台が長崎半島の脇岬、樺島、野母崎や軍艦島だったことによる。長崎半島はこの2月、ドライブに行ったばかりなので特に興味を持った。
  エンジェルトランペットは英名。この小説には”天使のトランペット”ででてくる。和名はキダチチョウセンアサガオ。著者は”ダチュラ”ともいうと書いているがこの花を次のように表している。
  「一つの花が20〜30センチにも達し、下向きに咲く花はすっと長い空洞になり、花弁の先が六方向に開き、その先端がトゲ状に反り返る」
  仕事帰りの夏の夜、甘い香りを放つ、この大きな花の存在が気になっていたが、最近この花がエンジェルトランペットと知ったばかりだったのだ。エンジェルトランペットが小説の中で印象的に効果的に随所にでてくる。
  あらすじは 夫の転職に伴って長崎にやってきた谷地万沙子は、脇岬祇園祭で一心不乱に太鼓を打ち続ける信次の凛々しい姿に心惹かれる。したたり落ちる汗が太陽に輝く。男はこれほどに美しいものか。彼女のその一瞬の心の揺れが思いがけない悲劇を生んだ。 不倫の汚名を着せられた信次と万沙子は12年後、13回忌後の再会を誓って島を去った。そして、今、約束の時が訪れる。・・・ 海沿いの町を舞台に描く大人の恋の物語。
  長崎半島は長崎市から南南西に突きだした半島で、数多くの入り江や岬があり複雑である。砂浜に囲まれた湾は夏場はウインドサーフィンで賑わっている。作品の中にも出てくるが、からすみ(ボラの卵巣を乾燥させたもの)は今もここで静かに作られている。

 
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