"農協博覧会"に行っていた。一定時刻になると会場のデパートのすべての商品がタダに変わった。
大きな鯛の素焼き2枚をぶら提げて喰いちぎり、酒を呑みながら他にもめぼしい物はないかと捜し廻っていた。
気がついて時計を見ると、その針が空転していた。周囲は、何万人という人が先を争って帰りを急いでいた。外に飛び出すと、そこは何故か大きな城壁の中だった。仲間とはぐれて、とにかく帰りを急いだ。
これほど多くの人影を見たことはなかった。自分の後ろを走ってきた青年が先を急いで城壁の狭い通路から飛び降りた。そーっと下に目をやると数十メートルとも言えるような絶壁だった。
急に怖くなって、手すりにすがって先を急いだ。
途中、若い娘が腰にすがりついてきた。「落ちるなよ」と声をかけたところで、目が醒めた。…
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