市営住宅の「臨港住宅」と「和多田住宅」を指定管理者に業務管理委託するについて反対討論
 
 今回の12月定例市議会の議案は、主に県事業への唐津市の負担をおこなうものであり、中途退職者の退職金や人事院勧告の実施に伴う予算措置及び健康診断の促進を図るものなどで賛意を表するものであります。
 そのなかで、市営住宅のうち「臨港住宅」と「和多田住宅」を指定管理者「株式会社富士」へ管理業務委託することについてのみ反対の立場から討論を行います。
 公営住宅法では、「国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、又は転貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする。 」と定めてあります。
 そのことから唐津市は市営住宅58団地2130戸の住宅を入居者に提供しています。それでも入居を待ちつづけられている世帯も多数おられます。
 唐津市は、これまで住宅運営ににあたっては、募集から入居、家賃の収納、住宅の維持管理など全てをおこなってきました。
 今回試行的に実施される臨港住宅には126世帯、和多田住宅には184世帯が入居されています。
 今回の議案では、唐津市がおこなうものとして、入居募集と入居決定及び家賃決定、徴収などをおこない、指定管理業者には、住宅の維持管理と滞納の徴収などを委託することしています。
 審議の中では、入居者からのクレームや維持管理などにおいて「迅速に対応出来る」というメリットを強調されました。
 しかし、市職員であろうが民間業者であろうが迅速な対応は当然のことであって、このとを制度導入の理由にすることは本末転倒ではないでしょうか。
 
 
 
 
 本議案について3つの問題点を指摘したいと思います。
 その一番目に、入居者の個人情報の漏洩問題です。
 指定業者には、入居者の「家族構成」「生年月日」「収入」などが知らされます。 審議の中では「厳重なカギをかけて保管する」「入室は限定する」などの「協定書を結び」違反した場合は、損害賠償の条項も盛り込むから心配ない。とのことでした。
 しかし、紙に印刷されたものが業者に渡ることについては、執行部も認めているところです。
 社外に流失する個人情報だけでなく、「社内で他部署への情報のたらい回し」にならない保障はどこにもありません。居住情報は不動産業者にとってはそれだけ美味しい情報だからです。
 個人情報が大事にされる時代に、唐津市が「個人情報を軽く扱っている」と判断されても仕方がないのではないでしょうか。
 将来は、唐津市全ての住宅を「指定管理者」に任せる方針であことから市営住宅の入居約2000世帯の情報が指定管理業者に渡ることも考えられます。
 
 二番目の問題点は、家賃滞納徴収の仕事を指定管理業者に請け負わせることで「過度の徴収」にななりやしないかということです。
 入居者が家賃を払うのは当然であります。しかし、これまで入居者には様々な理由で滞納にいたっている場合があるために徴収については慎重におこなってきました。 
 指定管理業者は、徴収金額を前年度と比較して増えた場合「その1割を業者の収入になる」ために、「過度の徴収」にならないか心配です。
 三つ目の問題点は、小規模業者の仕事確保の問題です。
唐津市は、小規模業者に「50万円以下の工事請負」については「簡単な見積もり」で仕事が出来る制度があり、喜ばれています。
 指定管理業者に変わることで、修繕工事などが「指定管理者の取引業者に優先され、仕事が回ってこないのではないか」と心配です。また、指定管理者が「手数料を取って仕事をまわす」ことだって考えられます。
 以上の問題点を指摘し、市営住宅を指定管理者に管理させることについて反対討論とします。