唐津民報308号
2018/7/1
峰市長「同意」権を
次期玄海町長に打診する意向
原発5キロ圏内に玄海町民より多い市民
 峰達郎市長は22日、市議会玄海原発対策特別委員会で九電の再稼働などを事前協議する協議会の設立を、玄海町に要請する考えを示しました。
 日本原電東海第2原発再稼働などの「事前同意」の範囲を立地自治体以外の周辺5市へ拡大した「茨城方式」を求めようとするものです。7月末の玄海町長選後に打診する意向を示したものです。
 茨城県の東海第2原発では今年3月、地元東海村に加え周辺5市にも事実上の同意権を広げた「新安全協定」を結びました。
 峰市長は、玄海原発5キロ圏内に暮らす市民が玄海町民より多いことを強調し、「九電には責任ある取り組みを求めたい」と発言したうえで、7月末の町長選後に、新町長と話し合う場を設け、協議会設置について打診する意向を示しました。
 
8市町との協議は慎
 浦田関夫市議、12日の一般質問で玄海原発周辺8市町との協議の場を求めるよう求めたのに対し、峰市長は「唐津市は他市町とは立場が違う」と、同意権拡大へ30キロ圏内の他市町と協力することには否定的な考えを示していました。
 唐津市は2012年、原発の「準立地自治体」として九電と安全協定を締結していますが、事前同意は盛り込まれておらず、九電が佐賀県や玄海町に説明する「重要事象」について遅滞なく説明を受け、意見を述べることができる内容にとどまっています。
 
「茨城方式」を検討
 特別委員会では、引き続き「茨城方式」について玄海原発でも研究することにしています。
 当日の特別委員会では、九電の山元取締役をはじめ出席して4号機のトラブルに陳謝し説明しました。議員からは、2号機の存廃や使用済み核燃料の中間貯蔵問題、県が示した「避難時間」等について意見が出されました。
 
玄海原発4号機
「使用済み核燃料」解決しないまま
九電は16日、玄海原発4号機を約6年半ぶりに再稼働させました。
 4号機は、今年3月に再稼働する計画でしたが、神戸製鋼所などの品質データ改ざん問題を受けた調査で再稼働を約2カ月延期しました。5月には「1次系」の循環ポンプで異常が見つかり、さらに約3週間遅くなりました。
 原発を再稼働させると必ず「使用済み核燃料」が出ます。その貯蔵も5年から7年で満杯です。それを避けるために、「リラッキング」(同じ入れ物に間隔を縮めて貯蔵する)方法で急場をしの計画です。「キャスク」という特殊な金属に方法もありますが、それに入れるためには15年から20年ほど水で冷やす必要があります。
 さらに、肝心の「使用済み燃料」の行く先は決まっていません。
六ヶ所村の「再処理工場」は、完成を当初1997年としていたものが延び延びになって2021年とされていますが、本当に完成するか不透明です。最終処分地もこれから見つけるとしています。
 
唐津市は多大の仕事
 原発があるがために、唐津市は多大な仕事があります。原発防災関係の職員を専門に配置し、避難計画、避難訓練、避難所の確保と運営、安定ヨウ素剤の配布と他市ではない仕事をさせられています。
 もし原発がなければ、その人員を市民の福祉に回すことができます。
 
電気値上げで報酬上げ
 九電は、「原発4基体制」が整ったことで、「電気料金を下げる」のではなく「役員報酬を上げる」としています。民間企業の仕事を自治体に押しつけ、利益の配分は、自分たちの懐(ふところ)では市民は納得できません。
 抗議行動に井上ゆうすけ県議、福島なおみ市議、伊藤一之市議をはじめ、120人が玄海原発ゲート前に結集しました。