唐津民報第301号
2018/3/18
東日本大震災から7年  
福島原発事故を忘れない
安全神話にもとづく再稼働ストップへ
 2万2000人以上が犠牲になった東日本大震災から、11日で7年を迎えました。
 2539人の行方不明者は見つかっていません。住居や道路などインフラは整備されつつありますが、人々の暮らしの立て直しは、道半ばです。いまなお7万3000人が避難生活を余儀なくされています。(福島県調べ)
 東京電力福島第一原発事故の傷痕はなお深く、廃炉作業は進んでいません。
 原発事故に遭った福島では、4町村で避難指示が解除され、間もなく1年になろうとしていますが帰還者は僅かです。
 
「福島の現状 井上県議が報告
 「玄海原発対策住民会議」など5団体が主催する「学習会と街頭行動」がおこなわれ、大成公民館に約80人が集まりました。
 井上ゆうすけ県議が「福島の現状」について、自ら福島原発を視察した状況を交えて報告をしました。(写真)
 井上県議は、震災によって福島県の人口が15万人減って187万人に、国勢調査で初めて人口が全くいない町が5自治体になったことを紹介しました。
 
安全神話のパンフレット
 3月県議会の一般質問で、九電の広報パンフレットについて「根拠のない安全神話を振りまくパンフレットでは」と質問しました。 
 九電のパンフレットは「玄海原子力発電所の安全性はさらに向上しました」というタイトルで、「福島原発の放射性物質の2000分の1に押さえられる」「一基あたり4・5テラベクレル」だから安全性は向上したという内容の記述のパンフレットを説明会や市民に配布しています。
 
知事答弁「安全神話につながるものであってはならない」
 その事について、山口知事は「安全神話につながるものであってはならない」県環境部長は「疑念を持たれることのないよう九州電力に申し入れたい」と答弁したことを報告し、「安全神話」にもとづく広報活動を繰り返すことによって進められる玄海原発の再稼働は「住民は納得していない」と強調しました。
 
裁判判断は、震災の 前と後では大きく変化
 原発なくそう!九州玄海訴訟の弁護団事務局次長の稲村蓉子弁護士は「原発訴訟で再稼働は止められるか」というテーマで、全国の原発訴訟が福島事故の前と後の裁判の変化について講演しました。
 福島事故前の原発訴訟は30以上の裁判所でおこなわれ裁判で住民が勝訴したのは2つだけでした。
 福島事故以降は、11の裁判で5つを住民が勝訴していることを紹介しました。
 
「立証責任」を住民から国や電力会社へ
 稲村弁護士は、この変化について、裁判所が「立証責任を住民側から行政や電力会社に求めたため」と住民側に有利になったと説明しました。
 2014年5月の福井地裁の判決は「放射性物質の危険から国民を守るべき万全の措置をとらなければならない」と「人格権を根拠にして原発の危険性」を判断した画期的な判決でした。
 一方で、上級裁判では、「絶対安全性を要求するのは相当ではない」と国や電力会社に有利な判決も相次いでいます。
 
規制委員会電力会社に規制を甘く
 火山噴火を理由に再稼働を差し止めた2017年12月の広島高裁の判決は、規制委員会の「火山ガイド」に基づく判断でした。
【火山ガイドとは】原子力発電所から半径160キロの範囲に火砕流が原発に到達する可能性が小さいかどうかを評価します。
 広島高裁決定後に規制委員会は、自ら定めた基準を緩め、「巨大噴火によるリスクは、社会通念上容認される場合」は運転しても良いと電力会社に甘くしました。
 このように、福島原発事故が及ぼした影響によって、裁判所の判断が大きく変わる中で、推進側の国は、自ら決めた基準さえ緩めて推進しようとしています。稲村弁護士は「住民との激しいせめぎ合いが今後も続く」と結びました。
 
11日12時から、「原発学習会」から大手口周辺に移動し、「再稼働反対」のアピール行動をおこないました。まじま省三前衆院議員もマイクを握りました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
浦田関夫議員の一般質問
九電パンフに「安全神話」
峰市長も苦言
 浦田関夫議員は、13日の一般質問で23日にも玄海原子力3号機の再稼働を目指す九州電力が、地元住民などに配布したパンフレット「万が一の事故の際においても、放射性物質の放出量は、福島事故時の2000分の1と確認された」などと「安全神話」につながると質問しました。
 
手直しをお願いしたい
 峰達郎市長は「記述の内容に驚いている。九電に誤解のないよう手直しをお願いしたい」と苦言を呈しました。
 福島第一原発事故の究明はされず、溶け落ちた核燃料の実態さえつかめていません。約5万人が避難生活を余儀なくされています。(福島県調べ)住民避難計画である「原子力防災マップ」は来年2月頃に市民へは配布予定です。
 浦田議員は、「玄海原発の安全性についての認識」を質しました。
 峰市長は「安全性は向上したが(事故への)不安の懸念は残る」「今、行われている使用前検査を緊張感をもって見守っている」と再稼働を容認する答弁をしました。
 
九電に企業責任を
 浦田議員は、九電の「企業責任」を求めました。
 市民は毎年、原子力防災訓練をおこないます。市は、万が一に備えた避難計画や住民誘導の訓練をしなければなりません。
 櫻庭総務部長は「福祉車両を5台が市に提供されている。アクセス道路の整備についても申し上げていきたい」と答弁しました。
 
副市長は2人体制
市民センターは3課から2課体制へ
 峰市長は、副市長の2人分の人件費を当初予算に計上し、1日の議案説明で触れなかったことについて9日、改めて説明しました。 峰市長は、二人目の副市長の人事議案は、議会最終日に提出予定です。
 また、機構改革として、「未来創造部」を創設し、移住・定住を進める「くらし応援課」、出会い創出を図る「結婚しよう課」、子どもの貧困対策を担う「こども元気課」の3課を新たに設置します。
 商工観光部は「経済観光部」に変わり、地元就職率向上を目指した「就業対策室」や「ふるさと寄附・からつ産品PR室」「観光地経営戦略室」を新設します。 「市民センター」は、建物名称は変えず、「地域振興局」を設置し産業課を廃止して、2課体制へする事ことを提案しています。
 峰市長公約は、支所機能の強化でした。
 議員から「市長公約に逆行するのでは」と問われ、峰市長は、「センターの職員には機動的かつスピーディに地域の問題に対応してもらえるようにする」と職員の能力に頼る答弁となりました。
 
虹の松原クリーン大作戦&松原植樹祭
 
 虹の松原で3月4日、「虹の松原クリーン大作戦&松の植樹祭」がおこなわれました。(NPO法人KANNNEが事務局)
 子ども連れから高齢者や個人、グループなどが参加しました。 
 県森林管理署の職員による植樹の説明があり、参加者は鍬を使い植樹しました。参加した親子で楽しい会話をしながら植樹に汗を流す姿も見られました。
 50センチほどの苗木約1200本を植樹しました。この日、植樹された松は、松枯れに耐性があるもので300年の樹齢を見込んでいます。
 
35mはしご車 お披露目
 2月27日、唐津市民会館前の広場に35mはしご車のお披露目がおこなわれました。
峰市長と唐津消防署長は、「市民の安心・安全を守っていきたい」と挨拶しました。
 消防隊員が、新しくなった機能について説明しました。
 開会式には唐津幼稚園の園児らと保護者などが訪れ、市民会館屋上からの救助の実演が行われると「すげー!」などの歓声が上がりました。
 市内には30m以上のマンションやホテルが 21棟あります。
これまでのはしご車は購入から22年が経ち、運用時の安全に関わる不具合が確認されるようになったことから、今回の購入となりました。 新はしご車は、はしご延長時の消防ホースをより迅速にすることができることや、はしご先端バスケットの定員が1人増えて4人乗りになり、更に屈曲できるなど救助機能を向上させたものです。購入費は約2億2000万円となっています。