唐津民報296号
2017/12/3
玄海原発周辺3`住民健診
九電が35年間オブザーバーで参加
原発による影響調査の疑い
 唐津市は24日、「北部地区住民検診」について、玄海原発対策住民会議からの質問に丸井驤齦ロ健福祉副部長が回答と市の考え方を説明しました。
 井上ゆうすけ県議、浦田関夫市議、福島なおみ市議も参加しました。
 
原発稼働前から検診
 この「北部地区住民検診」は、玄海原発1号機が稼働する2年前の1973年(昭和48年に、九電が唐津・東松浦医師会と玄海町及び旧鎮西町に話を持ちかけ、原発周辺3`住民を対象に「血液検査を含む検診」を玄海町及び旧鎮西町の予算で、医師会が県保健所などと合同で実施してきました。
 玄海町は、2地区を旧鎮西町は「串地区」を3年に一回実施され、旧鎮西町は、2002年に中止しましたが、玄海町は2010年(平成23年)まで37年間実施してきました。
 
九電が「持ちかけ「住民検診」はじめる
 この検診には、いくつかの疑問があります。
玄海原発が稼働する前に「九電」が働きかけていたということです。
 九電はなぜ、原発周辺3キロ以内の地域に限定し「住民検診」を医師会に持ちかけたのでしょうか。しかも、九電は、「北部住民検診」の事業が終了するまで「オブザーバー」として参加していたのでしょうか。
 ここから見えてくるものは、原発による放射能が周辺住民に及ぼす影響を調査するために、九電は、「住民検診」という名目に、医師会と玄海町及び旧鎮西町に話を持ちかけ、検査項目に「血液検査」を入れ37年間もオブザーバーとして参加していました。
 
資料は公開されず
 もう一つの疑問は、調査結果を医師会が保存していながら「公開」を渋っていることです。
 毎年実施された検診の結果は年一回、医師会による「健康調査特別委員会へ担当課長らが出席し、「口頭」で伝えられ、配布された資料は回収されたということです。
 その時、オブザーバーで参加していた九電も資料を回収されていたのでしょうか。
市は、この資料の公開について「報告書を医師会からもらう方針にはなっていない」と資料請求をしない態度です。
 
県北部に白血病が多い
 厚労省の人口動態調査では、「佐賀県北部に白血病が多い」という調査結果が公表されています。
 保健福祉部は「検査結果は他と差異はないと聞いている」というのであれば、九電と医師会はこのことについて説明すべきですし、資料の公表を行うことが、住民の不安払拭につながると思われます
 
 原発問題で、またもや不正事件が発覚しました。
 資源エネルギー庁や原子力発電環境整備機構(NUMO)が開いている、原発の使用済み燃料から出る「核のごみ」の最終処分場の候補地選定をめぐり、全国説明会で、広報業務を委託していた業者が謝礼を約束して大学生を動員していたというのです。
 佐賀県でも、玄海原発説明会に関連会社の社員を「動員」させ、「賛成する発言」を行わせたり、「やらせメール」などで、「推進の世論づくり」に翻弄されたことがあります。
 NUMOによると、動員で集まった学生は東京など5会場で39人を動員したといいます。
 核のごみの最終処分地選びでは難航しています。
NUMOは、全国地図「科学的特性マップ」を7月に公表し、福島県を除く46都道府県での説明会が始まったばかりです。
 
最終処分方法は破綻
 11月6日に埼玉県であった説明会に参加した男子大学生が、座談会の場で「1万円もらえるから参加した」という趣旨の発言をして、問題が発覚したものです。
 お金で人を集めなければ説明会が成り立たないほど、核の最終処分地の選定は難しものです。
 10万年以上も厳重に保管しなければならない使用済み核燃料は、これ以上増やさないためにも原発に依存しないエネルギーへの転換が必要です。
 
地域エネルギーと水素の利活用セミナー
再生可能エネルギーの可能性
「節電も電源の一つ」
 「地域エネルギーと水素の利活用セミナー」が14日(火)オーテビル(大手口)で、九州経済産業局、佐賀県、唐津市、(一財)九州地域産業活性化センター、九州環境エネルギー産業推進機構の共催で開かれ、これからの地域エネルギーについて国の施策や海外の例などの講演が行われ、福島なおみ議員が参加しましたので、その内容をお知らせします。
 
再生可能エネルギーと省エネルギーの両立
「再生可能エネルギー及び水素社会の国の施策と動向について」九州経済産業局の鶴丸貴信氏は、2014年度時点の日本のエネルギー自給率が6%でOECD中37位と低いことから、自給率の向上を目指すとした上で、徹底した省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電の効率化などを進めつつ、原発依存度を可能な限り低減させるという基本方針が示されました。新エネルギーの利用においては、送配電の整備に費用がかさむため、エネルギーの地産地消が必要と考えられています。また、電源別の伸びでは、2013年の固定価格買い取り制度が始まってから太陽光発電が大きく伸びたのに対して、風力・バイオマス・地熱・中小水力は増えていない現状です。
 従来の新エネルギーに水素を加えた新エネルギーへの取りくみが示されました。
 
エネルギーで地方創世づくり
 「再生可能エネルギー等を活用した地域エネルギーシステムについて」小野田弘士早稲田大学教授は、再生可能エネルギーといっても安定電源(地熱、バイオマス等)と、不安定電源(太陽光、風力等)に分けて考える必要があることが提案されました。また、「節電も電源の一つ」との切り口や、電源別の地産地消の優先順位を示すなど、考えを整理し、エネルギー事業は、地域にとって付加価値の高いプロジェクトを創造していくことが必要なことから、地方創生などと連携した施策が求められるとの考えが示されました。
 「道筋や正解を示すものではなく、今なにをすべきかを考えることが重要だ」と指摘しました。エネルギー作りはインフラ作りで、避けて通れない道であります。
 
地域住民参加型の可能性が広が
 ドイツでは、エネルギーを中心とした地域公共サービスを担う公的な会社である「シュタットベルケ」について、日本でいうと第三セクターとも違う運営方式です。
 ドイツには、900事業を主事業としているシュタットベルケが900程度あり、発電・売電だけでなく、配電網の管理運営や熱供給事業等を通じて収益を確保し、その収益を活用して、公共交通サービスや公共プールの運営などの不採算事業も自社ビジネスとして取り込み、企業全体として黒字を確保しています。
 自治体は理念を共有し、出資しますが、経営は完全独立。総合評価一般入札形式では、地域貢献度の高さも評価基準になっています。
 市民参加型の再エネ導入例では、地域の資産やそれらから得られる資金を地域の外へ流出させず地域内に留めることが重要視されていて、発電技術と送配電の課題をクリアすればエネルギー自給率100%を超える可能性のある唐津にも照らしても相当の経済が地域で循環することが期待されそうです。
 参加者は、議員や事業者などが目立ち、市民電力の立ち上げに繋がるには時間がかかりそうですが、展望が開ける講演会でした。
 
「唐津・窯元ツーリズム」が11月25・26日の両日、市内全域で開催されました。
 浜玉町鳥巣では、公民館を会場に、餅つきが行われ、野菜や花の販売や食事がふるまわれました。(写真)「とりすまつり」は、今回が5回目の開催で、野菜や花・多肉植物の販売、鳥巣で取れた米や野菜を使った食事がふるまわれました。
 鳥巣窯では、唐津焼で飲食の提供が行われ、訪れた人を楽しみました。鳥巣分校は閉校しましたが、分校の先生と教え子たちの交流は地域の行事の中で続いています。
 このイベントには、リピーターも増えているとのことでした。