唐津民報295号
2017/11/19
「島づくり事業」などの経理に疑問
神集島住民有志が市へ要請
交付金/巡り不正か
離島振興の二つの交付金を巡り不透明な会計処理があるとして、神集島の一部の島民が市に対応を求めています。
 交付金の団体である代表者となっている区長との食い違いもあり、市の担当課は「県とも協議しながら、双方に事実確認して対処したい」として調査を始めることにしています。
 9日、島民3人が市役所で記者会見しました。
 それによると、「離島漁業再生支援交付金」で、神集島は2010年度(平成22年)から500万〜600万円(年)前後の交付金が支払われ、神集島では、ウニの種苗放流や「ガンカゼ」の駆除などの他に、島民による海岸清掃などがおこなわれていました。
 島民が示した、「実績報告書」の写しによると、島民による「海岸清掃で日当が支払われたことになっていますが、島民15人は日当(1500円)をもらっていないし、印鑑も押していません」と連名で署名に押印して不正を訴えたものです。
 島民のみなさんは「事業が始まることも知らされていない。2年前に説明が一度あっただけ」と主張しています。
 
区長、不正を否定
 区長は、マスコミの取材に「島民への説明や報告、お金の扱いは事務担当者に全て任せていた。実績報告書も見ていない。その担当者は『日当は全部払った』と話している」(佐賀新聞10日付け)と報じています。
 
区長の筆跡で領収書は認める
 もう一つの交付金は、離島の特性を生かした事業を支援する県と市の「島づくり事業」で、2005年度(平成12年)から約150万円(年)が交付されてきました。
 その中で、イノシシの駆除で購入した餌や道具の領収書が「区長の筆跡」であると島民が指摘したものです。 区長は「親しい友人から購入し、私が書いた。偽造しているように思われても仕方がない」と自分が書いたことを認め、「物は買っており、着服はしてない」と佐賀新聞は報じています。
 
市は、早急に調査
 市の担当者は「筆跡までは確認していなかった。虚偽の申請なら返還を求めることになる」として、早急に調査することにしています。
 
県内で、同じ様な事例が
 同じような事例が、今年6月に「上峰町で、農地・水・環境向上活動協議会」が10年間総会を開かず交付金を受給していたことが新聞報道されたことがあります。
 報道によると、交付金をもとに支払う作業日当などを一部役員が水増しし、差額分を得ていた疑いも出ており、実態の調査に向け、住民有志が臨時総会の開催を求めたものです。
 島民の方は、この記事を見て「自分のところでも同じようなことが行われている」と7月、市に厳正な対応を求めていました。その後、明確な動きがなかったために、今回の要請になったものです。
 
地域の合意形成が重要
 神集島でも総会が開かれないまま、事業が何年もされていたことになります。
 事業を円滑にする為には、「地域の合意形成」が重要です。しかも、領収書の筆跡を代表者が認めてあるのであれば、「横領」の可能性もあります。
 農村や漁村では、区長などの誤りを指摘すると、「異端者と見られ、地域にいずらく」声をあげにくい面があります。
 これを機会に市では、事実関係を明らかにして誤解を生まない対策を講じて欲しいものです。
 
福島なおみの「視察報告」
どうするかはそのとき「判断」
場当たり的な原子力避難計画では
 福島なおみ議員は、8日と9日、玄海原子力発電所対策特別委員会で、伊方原子力発電所(四国電力)の周辺自治体で愛媛県八幡浜市と大洲市における、「住民避難計画と実効性の課題」などについて視察しましたので、感想を含めて報告します。
 八幡浜市は伊方原発から10`圏内に位置しています。
 八幡浜市では、日常的に医師不足で災害時の病院機能には一層の不安を持たれていました。
 
ヨウ素剤は未配布
 安定ヨウ素剤の事前配布はされておらず、公民館などで配布する事になっています 。
 いざという時に、医師の問診なしで、服用の判断をする事になりかねません。服用には、国と県及び市が「責任をもって対応する」としていますが、実効性には疑問があります。
 
複合災害には対応不能なのに「可能
 避難経路は、市を四つに分割し、松山市に向かう四つのルートを設定してあえいましたが、放射能漏れと自然災害の重複災害で、がけ崩れや冠水・川の氾濫が起きると「どうするかは、その時に考えます」と担当職員は説明しました。
一方で、毎日新聞が伊方原発周辺自治体に行ったアンケートでは、「原発事故で放射性物質の大量放出が懸念される場合、計画に沿い、住民の避難が滞りなく行われると思うか」との質問に、八幡浜市は「福島の例を念頭におけば屋内退避と組み合わせることで避難は可能」と回答しています。(毎日新聞地方版8/12付)
 
避難は自己判断を容認
大洲市は、伊方原発から30`圏内の市です。
自主防災組織や避難所運営マニュアル作成などは整備されていましたが、避難受け入れ先との連携は進んでおらず、避難する住民の側も自分の避難先を知らないなどの課題がありました。
担当職員は、「原発事故への関心は高まっていますが、知識は広がっていない」と説明しました。
住民が避難する場合、住民の半数以上が、市の指示を待たずに「自己判断」で避難することを予想し、住民は避難後に所在地を市に知らせるようにしているそうです。しかし、連絡などで、電話回線はパンクする事が予想されますが、その対策はありませんでした。
福島原発事故で、今も損害を受けている人たちは「電力会社や国の責任で損害を受けたとを証明」することが課せられています。
 被災者は、どんな状況に置かれ、何を証明しなければいけなくなるか、事故前には考えもしなかったことに「生活の全てをなくしました。それを、電力会社や国が求める証明をするのは不可能に近い」のが実態です。
 果たして、「自己責任」を容認して、国や県、市が責任を果たすか疑問です。
 
ガソリンは余裕を
 基本的に自家用車での避難ですので、ガソリンに余裕を持つように奨励されていました。何原発事故が起きるか分からないのに、「余裕あるガソリンの量」についての考え方が示されていませんでした。
 
実験的な避難計画
 この視察で感じたことは、原発事故からの避難は、「起きてみなければ対応を示せない実験的な計画」であることです。
 原発事故への「危機感の薄さ」は唐津以上であったように感じました
 
12月議会へ要望を受け付けます
 
 12月議会は、1日から開会予定です。「新庁舎建設」や「アルピノのあり方」「唐津市民会館の方向性」「交通弱者への支援」「学校給食」その他、暮らしで困っている事や普段みなさんが考えていることをお聞かせください。市民のみなさんに成り代わって議会や市政に発言してまいります。
 まずは、お気軽にお電話ください。
? 73−1611(唐津市町田3−5−20)
 市議会議員 浦田関夫・福島なおみ