唐津民報第275号
2016/10/9
 
平成27年度決算特別委員会
公共事業が増え、迫る財政危機
将来、市民負担増やサービスの低下も
 
 唐津市の平成27年度決算特別委員会は5日から13日までおこなわれます。
 唐津市の財政は、平成27年度の県内市町の財政状況と比較すると、公共事業による投資的経費が増え将来の市民サービスを脅かしかねない状況が明らかになりました。
 唐津市の平成27年度の実質公債費率(収入に対する実質的な借金の比率)は、15.2%で、前年度より1.0%改善されたとはいえ、県内の市町平均(9.7%)の1.56倍も高い位置にあります。なお、実質公債費率が18%以上となると地方自治体は、地方債を発行するときに国の許可が必要になります。
 
将来負担率は県内平均の2・4倍
 さらに、将来の借金の負担率を示す「将来負担比率」は、128.2%と昨年より1.5%改善されたとはいえ、県内平均(53.2%)よりも2.4倍も高くなっています。
 
財政力は県平均以下
 市の財政の豊かさを表す「財政力指数」は、0.42%で、県内平均(0.5%)よりも低いものです。
 財政力指数は「1」に近いほど財政力があると見なされ「1」を超えると普通交付税(国からの支援金)が交付されません。玄海町が該当します。
 
公共料金の値上げか
 このように、財政力が県平均を下回るなかで、将来の借金返済の指数が県内市町の平均を2・4倍も多いということは、今後、少子高齢化が急激に進むなかで、社会保障費の増化が予想され、住民サービスの低下が予想されます。公共料金である「ゴミ袋」「水道料」「テレビ受信料」「施設の利用料」などの値上げが予想されます。
 
原因は投資的経費増大
 他市より劣る財政状況になった原因が「多額の投資的経費」(ハコモノ建設)が挙げられます。
 投資的経費の推移を平成25年と27年と比較してみるとハッキリしています。
平成25年の投資的経費が87億3000万円だったものが、27年には1.54倍の47億7500万円も増え135億253万円となっています。
 
単年度借金2倍に合併特例債を使い切る
 その財源を支えている「特定財源」(市債)は平成25年度39億4560万円だったものが2倍の79億640万円に膨れあがっています。
 唐津市は、合併特例債が切れる平成32年までに使い切って、公共施設の整備に充てるとしています。
 合併特例債が無くなる平成33年には、使える投資的財源は48億円程度に激減し、現在の135億円の3分の1に急激に減少することになります。
 しかし、建物の更新や維持には70億円程度は必要とされ、その分が一般予算に喰いこむことが予想され、将来の財政運営は苦しい運営を強いられることになります。
 
新市庁舎の位置
西寄りに6階建て
 28日、唐津市役所本庁舎の現地建て替え計画を検討する第4回の建設委員会が市役所で開かれました。前回示された三つの配置案の中から敷地南西寄りに6階建てを構える案(B案)が好ましいとする方向性で一致しました。
 B案では、敷地南東部の広場と北側の駐車場が一体的に活用できること、さらに完成まで現庁舎が使用できるメリットがあるとしたものです。
 さらに、「工期が短く工事費が安価」「景観的によい」などの意見が出されました。
 建設委では外観についても話し合い、「近代的な建築の中に城下町に似合ったものを」などの意見が出されました。
 次回は市が建設委の議論を盛り込んだ基本計画の素案を示し、年内に基本計画をまとめ、年度内にプロポーザル(提案型)方式で設計業者を選定する予定です。
 市議会の26日の本会議で熊本大成新庁舎建設と議会棟に係る特別委員会委員長が「議会棟のあり方について」中間報告を田中議長に報告しました。
 市民は、市庁舎の建設について知らない方も多く「アンケート」をする必要があります。
 
坂井市長の「4ヶ月無給」修正案を否決
市長擁護派「生存権を脅かす」 
 9月26日、唐津市9月定例議会の最終日に、共産党と社民党が共同提案した「坂井俊之市長の任期期間中を無給」とする修正案が上程されました。
 浦田関夫議員が、提案理由について、坂井市長の一連の政治活動について「道議的責任をとる」として、50%2ヶ月カットの提案の根拠に示した他市の事例に疑義があり、前佐賀県知事の「やらせメール問題関与で4ヶ月無給」を自らに課した例を示し、「誠意の無い説明」と指摘し、自分の都合の悪い事例は伏せた誠意の無い説明と指摘しました。
 さらに、「政倫審の結論を重く受け止めるといいながらその態度が見えない」と4ヶ月無給とする修正案は妥当と訴えました。
 
年収1500万円と生活困窮者とは同列に論ずべきではない
 議案質疑では、青木茂(志政会)や吉浦慎一郎(清風会)議員が「第三者が無給を主張することは人権を奪い、(健康で文化的な最低限の生活を保障した)生存権を脅かすもの」と主張しました。
 浦田議員は、「年収1500万円近く収入がある市長と明日の生活に困っている困窮者とは同列に論ずべきものでは無い」と答弁しました。
 白水敬一(公明党)議員は、「多くの市民の声を代弁しているというがどれだけの人が無給を求める人がいるのか」と市民運動を見下すような質問をしました。
 浦田議員は、「短期間に政倫審審査会の開催要件の2.6倍にも及ぶ2600人以上が署名したことは、民意の表れ、住民投票すれば正確に現れる」と答弁しました。
 
傍聴席から「無給は当然」の声
 傍聴席には、多数の傍聴者やマスコミが集まりました。
 傍聴席からは「無給は当然」「市長は辞職を」などの声が飛び交い、田中秀和議長が再三静粛を求める発言や議員席からは、「傍聴者は退席させろ」と一時、騒然となりました。
 採決の結果は社民党と共産党の3人の賛成で賛成少数で否決となりました。
 宮崎千鶴(公明党)議員は退席しました。
 
市長は認識しながら説明せず
 朝日新聞(佐賀版・9月27日)によると、坂井市長は、議会解散後の記者からの質問に「古川前知事の4ヶ月無給」については知っていたことを認めたと報じています。
 浦田議員が提案理由の説明で「自分の都合が悪い事例を伏せて説明するのは誠意のない態度」と指摘したことが坂井市長の口から明らかになったものです。
 
国保会計が佐賀県内統一へ
統一を進める県は少数
不透明なままの統一はすべきではない
 
 半世紀以上、唐津市民の健康を守ってきた「国民健康保険制度」が唐津市の運営から「佐賀県統一国保」へ平成30年度から移行の準備がすすでいます。
 広域の保険制度になることで、被保険者の立場で運営に不安視する意見が医療関係者からも出されています。
 全国で動きとなっているのは、大阪府、奈良県、三重県、広島県など少数です。
他の都道府県では、「統一しない」ところや「慎重」なところが多いのが実情のなかで、浦田関夫議員は「なぜ佐賀県が国保一本化に急ぐのかと」と一般質問をしました。
 
赤字体質からの脱出見通し見いだせず
 民生部長は、国保の県内統一を進める理由として、「財政基盤の強化が大きな柱。公費拡大で単年度赤字解消につなげたい」と答弁しました。
 しかし、県内統一で規模が大きくなったとしても医療体制は変わらず、被保険者の所得が増えるわけでもありません。公費(国からの支援)の増大が期待できるといっても、しょせん消費税頼みの財源でしか無く国保会計が抱えている基本的体質が変わらなければ、「赤字体質」から脱出するとは思えません。
 平成30年から佐賀県が財政運営の責任主体として主体的な役割を担うことになります。
唐津市は当面、これまでの資格管理、保険給付、保険料の決定、賦課徴収保険事業などを引き続きおこないます。
 
保険料の値上げも
 しかし、保険料については「速やかに統一をめざす」としており、医療費が低いところも高い地域の医療費も「標準保険料率」となり、保険料が値上がりすることになります。
 そうなれば、保健活動で医療費を抑制している自治体の努力が評価されません。
 一方、国は「医療費抑制」のために、医療費の自己負担の値上や市販の薬剤の服用を進めようとしています。
 このような、被保険者に何の情報提供も無いまま「決まりましたから」と県内統一保険への移行はすべきではありません。
 
無料法律相談会
★日時 10月27日(木)午後5時〜
★場所 唐津市町田3丁目5ー20
    100円クリーニング店うら
★相談者 弁護士・司法書士・議員
★?予約 73−1611(浦田まで)