唐津民報第272号
2016/8/21
 
第98回全国高校野球選手権大会
唐津商、木更津総合に及ばず
健闘に惜しみない拍手
 
 13日、第98回全国高校野球選手権大会に佐賀県代表の唐津商は、木更津総合に0-
2で敗れましたが、強豪校を相手に健闘したナインに、唐津から駆け付けた生徒や保護者らは、スタンドから最後まで逆転を信じ応援し、唐津商球児に惜しみない声援を送り続けました。
 三塁側アルプススタンドには、バス19台で前日夕に唐津を出発した生徒約360人と教職員や保護者約220人、関西の県人会などが応援に詰めかけました。
 二回裏に2失点し、大会屈指の左腕である相手エースに打線も抑え込まれる展開となりましたが、唐津商に大きな声援を送り続けました。
 唐津商は、最後まで追い付くことはできませんでしたが、谷口投手の粘り強い投球で三回以降、相手をゼロで抑える好投をし、ナインのきびきびした動きに惜しみない拍手が送られました。   
 
介護保険料を3万2500人誤徴収 
必要な処理を怠る
 唐津市は12日、65歳以上の約3万2500人分(全年金天引き者の96%)で誤った額を年金から天引きするミスをしたと発表しました。
 原因は、前年度保険料を基にした仮徴収額のデータを日本年金機構に送っていたものです。 
 
市民の指摘で発覚
 職員が誤徴収に気づいたのは、2人の市民から「市が最新データを反映させて通知した介護保険料と、年金機構の通知額が違うという」と指摘があり、誤徴収が判明しました。
 取り過ぎた分は返還され、追徴の必要な分は追徴されます。
 徴収額との差額は100〜200円がほとんどですが、取りすぎ分を返還する還付額は最高で3万5300円、追徴額は最高で4万5100円に上ります。
 
チェック体制の不備
 会見を開いた保健福祉部長は、このような事態になった原因について「ミスに対する組織的なチェック体制の不備を原因」と説明し、「介護保険制度に対する市民の信頼を損ね、責任を痛感している。再発防止を徹底して信頼回復に努めたい」と陳謝しました。
 徴収額は毎年6月に所得などを基に算定されていますが、高齢者支援課の担当者が変更処理の際、必要な処理の一部を行わないまま、年金機構の窓口となる県国民健康保険団体連合会にデータを送信したため、最新の年金控除データが反映されず、実際の金額と差異が生じたものです。
 
介護保険制度が危ない
認定者の6割強が保険対象外
 
 国は、介護認定を受けた人の要介護1・2の訪問介護など介護支援を介護保険給付から外そうとしています。
 介護保険をめぐっては、一昨年に「要支援1・2」の訪問介護・デイサービスなどが保険対象から外されたばかりです。
 財務省の財政制度等審議会では、掃除や調理の生活援助利用が軽度者に多いことから、「原則自己負担」を求めており、実施されたら利用者は大幅な自己負担増になり、利用者・家族の不安を高めています。
 生活援助サービスは、日常生活を支えており、ケアプランに基づき計画的に実施されているもので、専門家が利用者の状態の変化に気づき、早期対応を可能にします。
 生活援助の「保険外し」は、そのような対応を難しくし、その結果、利用者の重症化が進み、むしろ介護保険財政を圧迫しかねません。
 唐津市の介護認定者は6714人(5月現在)で、要介護2以下の方は、認定者の66.4%の4463人が保険対象外となりかねません。
 
 保険制度の信頼が失われる
 国は、保険料を払うことで介護サービスを利用できる制度をつくってきましたが、これでは、「負担あってサービスなし」となり、制度の信頼と根幹を崩すものです。
 安倍内閣がめざす、「介護離職ゼロ社会」のためにも「要介護1・2」の「保険外し」を中止し、安心・安全の介護保険制度の実現を強く求めていかなければなりません。
 
伊方原発再稼働
住民の不安置き去り 
熊本震災級に対応できず
 
 12日、四国電力の伊方原発3号機が住民の不安を置き去りに再稼働しました。
 川内原発などに続いて5基目であり、玄海原発と同じプルサーマルでは唯一の再稼働となりました。
 伊方原発は、九州に向かって延びる佐田岬半島の付け根に位置しています。最大の懸案は大規模な活断層「中央構造線断層帯」が、近くを走っているという事実です。
 
避難の実効性に疑問
 熊本地震は震度7クラスが連発し、これまでの地震学の常識をひっくり返しました。
 熊本地震の影響を受けて中央構造線断層帯が活性化しないのでしょうか。ふたたび、同じ規模の地震が起きた場合、住民約5000人の避難計画は不十分なままの見切り発車と言わなければなりません。
 伊方原発の場合は、その立地する地形を考えれば、避難計画の実効性に大きな疑問があげられています。
 
避難道路は一本のみ
 佐田半島は、やせた馬の背中のように山の頂上を狭い片道一車線が曲がりくねった一本道のみです。岬の西側の住民は海上ルートで大分県側に逃れることになっていますが、果たして船舶の確保は間に合うのでしょうか。命を守るための避難計画が、絵に描いた餅のままの再稼働です。
 
重大対所施設も疑問
 原発関連施設にしても、重大事故時の拠点となる対策所が心もとないという指摘もされています。最大100人近い作業員を収容するには手狭だからです。しかも敷地内は高低差が大きく、訓練では作業員が熱中症で倒れる事態があったとも報告されています。
 
安全神話の回帰
 「世界で最も厳しい」と田中俊一委員長が胸を張る新たな規制基準が定められ、それをクリアした原発だけに再稼働を認めるという国の方針です。さらに、老朽原発の運転期間を制限する「40年ルール」や、最新の科学的知見を反映させていく「バックフィット」という考え方は反故にされたまま「原発安全神話の回帰」となっています。
 
40年ルールは形骸化
 40年ルールは、もはや形骸化しつつあります。原子力規制委員会は既に40年を超えた関西電力高浜原発の稼働延長を認めました。田中委員長は、老朽化原発について「費用をかければ技術的な点は克服できる」と認める方針です。そこには例外中の例外として認めるという思想は伺い知ることはできません。
 
地震測定も過小評価
 今年6月、規制委で副委員長を務めた島崎邦彦・東京大名誉教授が、原発の耐震設計の目安となる揺れ「基準地震動」の計算式に問題があると、「過小評価」していると指摘しました。しかし、規制委は正面から受け止めようとはしなかったのです。
 
国と規制委員会は国民の不安を無視
 このように、規制委と国は、国民の不安の声に耳を傾けようとはしないのでしょうか。
なし崩し的に原発回帰に向かっているのではないかと強く危惧するするものです。
 
米の核先制不使用
安倍首相が「反対」と米紙報道
 15日付の米紙ワシントン・ポストは、オバマ政権が検討している核兵器の先制不使用政策について、安倍首相が「北朝鮮に対する抑止力が弱体化する」として反対の意向を米側に直接伝達したと伝えています。 
 安倍首相は、オバマ氏を広島に招待し、自らも広島と長崎の平和式典で「核兵器のない世界に向けて努力を重ねていく」と表明しましたばかりです。オバマ米大統領の政策を支援するのが唯一の被爆国首相の努めではないでしょうか。
 
二枚舌の安倍政権
 日本は米国の先制不使用政策に対し、北朝鮮の核開発や中国の軍事的台頭を念頭に基本的に反対の姿勢を示した事は、唯一の被爆国として核廃絶を訴えながら、核兵器廃絶に背けるのは二枚舌というものです。
 
核廃絶の一歩に
 オバマ首相は「核なき世界」を提唱し、一連の核政策の見直しで、核による先制攻撃を仕掛けない先制不使用政策の採用を検討しています。
 オバマ政権は、「核実験禁止」を呼び掛ける国連安全保障理事会決議の採択などを目指しています。このことは、核廃絶の一歩を踏み出すことになります。
 
【核の先制不使用とは】
 敵の核攻撃を受けない限り、核兵器を使用しないという政策。現在、米ロ英仏中の五大核保有国のうち先制不使用を宣言しているのは中国のみです。