君、忘じたまふことなかれ
 

ああ、友垣よ君に問う
君!忘じたまふことなかれ
ともに学びし君なれば
陋屋まさに、木造りの
学びの屋舎、もの歴れど
光、力、のぞみ、もて
祖先(みおや)の大地(つち)を守らんと
拳を上げし、遠き日よ

ときに、戦雲陰暗く
学徒幼なく兵器敞
或は戦陣雄途にて
神州護国旭日の
御旗とともに、神風の
戦火に散りし友の名の
同期名簿に、残りしを
君!忘じたまふことなかれ

ああ、友垣よ鶴城の
さざれ石敷く校庭に
師の君賜う、御(み)教えに
沿い得ざらまし座禅行
膝の痛みは、胸深く
大いなる師の情けとて
いま、懐かしき若き日よ
君!忘じたまふことなかれ

木漏れ陽ぬくき白砂に
春は可憐の松露の
松の根方に育つとき
穀雨に濡るる優しさが
松浦の海の潮騒に
抱かれて眠る松浦潟
錦糸に映ゆる唐津城
風情は今も変わらずや

ふるさと街は秋深く
数多の山車の綱引きて
明神台に砂塵蹴り
鉢巻き凛々し、腹掛けの
赤緒草履に足袋姿
太鼓囃子や祭り笛
喊声秋空(そら)に轟くを
君!忘じたまふことなかれ  
 唐
中45回生 堤 昭憲 2011,8,30
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